アメリカ大統領選でのSNS各社の役割
洋一郎です。
2020年11月、アメリカの大統領選挙が始まりました。
アメリカでは、選挙の勝敗は投票日当日には決まらないという、日本人にはなかなか理解できないものがあります。
ここでは、アメリカ大統領選挙で活躍しているSNSの動向について調べてみました。
大統領選挙の状況
SNSは、情報伝達ツールとしては、大統領選挙まで進出し活躍しています。
アメリカの大統領選挙結果は、正式に確定するまでその集計作業は投票日の後も続きます。
TwitterやFacebookなどのSNSは、投票結果が確定する前にどちらかの陣営が早めに勝利宣言をした場合、国民が混乱を起こさないようにするため、「自主的に対応」しています。
今回の大統領選挙の結果は、7つの州が投票を締め切るタイミングのアメリカ東部時間11月3日午後7時(日本時間4日午前9時)に出始めました。
その後の数時間でアメリカ国内の他の投票所も閉められます。
そして、開票、集計が進み、得票数がどんどん更新されていきます。
しかし、日本と違い、「その日の夜には最終結果が出る!」ということはありません。
アメリカでは、票を集計して正式に確定するプロセスは投票日の後も続きます。
この集計作業は、新型コロナウイルス感染症の影響で、多分通常よりも長引くと予想されています。
ここで、Webメディアであるアクシオス(Axios)は11月1日、まだ何百万票もの集計が残っていても、開票速報でもしトランプ大統領が有利だった場合には、「早めのに勝利宣言する」つもりだと報じていました。
トランプ大統領自身は、これを否定しています。
しかし、このような「早まった勝利宣言」は、「選挙の正当性を損なわせようとするトランプ大統領自身の戦術」なのかもしれません。
実際、トランプ大統領は、大量の郵便投票が残っていても、投票が締め切られたらできるだけ早く弁護士を使ってペンシルベニア州の集計を止めさせる!と言っているので、その言動はどう見ても一致しています。
それでは、本当の決着がつく前に候補者が「急いで勝利宣言をした場合」は、アメリカ全体は一体どうなるのでしょうか?
これらの情報もSNSを使って普通に発信されていましたが、最近の動向によるとちょっと状況が変化してきました。
ソーシャルメディアの対応
ソーシャルメディアが大統領選挙勝利宣言の最前線にいるのは事実です。
時期尚早の勝利宣言は、TwitterやFacebook、YouTube、Googleといった米国のSNSで発信されることになります。
ですから、こうしたプラットフォームがそのような事態にどう対処するかで、次に何が起こると報じられるかが決まのです。
そこで、これら4つのサイトでは、そのようなデマへの対処としてラベル付けを使う予定です。
(11月5日時点では、既にラベルが付けられています。)

MITから引用
トランプ大統領のお気に入りのTwitterは、候補者が選挙の結果について誤解を与えるようなツイートをした場合は明確なラベルを貼り、また、拡散性のあるツイートについても同様にラベルを貼って対処すると述べています。
真偽の曖昧な勝利宣言について、その情報がツイートとして発信された時点で、「公式の発表の情報源では勝敗が決まっていない可能性があります。」と言うラベルが貼られます。
Twitterは、各州や地域の選挙管理委員会、専門の選挙関連機関を介して大手の報道機関の情報に基づいて選挙結果を確定します。
候補者が選挙結果をツイートしても「警告ラベルを張られないようにするため」に、少なくとも2つの情報源で勝敗が確定していないといけなくなりました。
YouTube
文字通りYouTubeは、選挙広告の最前線に位置しています。
早まって勝利宣言を発信している映像には情報パネルを添付します。
そのパネルは、AP通信と提携して制作されているグーグルの選挙特集ページにリンクが張られています。
ここでも、公平な情報を提供するということですね。
Googleの広報担当アイビー・チョイは、「私達は、報道機関の信頼性の高いコンテンツも引き続き取り上げ、不正確な選挙情報の拡散を減らしていきます。」と言っています。
更に「早々に勝利宣言をした特定のコンテンツが、投票関係について視聴者に誤解を与えたり、民主的なプロセスへの干渉を促したりしている」場合は、グーグル持っている「コミュニティ・ガイドライン」に沿ってそのコンテンツを削除します。
ここまでやると、Googleの倫理観はすごいと言えますね。
投票が締め切られると、Googleが提供している全ての広告プラットフォーム(YouTubeや検索エンジンなども含む)は、2020年の大統領選挙に関連している広告を停止します。
それにより、Googleのインターネット網でデマが広がる可能性が断たれる!ということになります。
FacebookもTwitterのようなラベルを運用するようです。
対策の1つとしてニュースフィードに予防的通知を出していきます。
そこからAP通信やロイターなどの権威があると言われている報道機関の情報が分かるようにします。
ウソのニュースに対するFacebookの通常の対応は、ネットワーク上で広がる拡散を減らして、ファクトチェッカーと協力してラベルを追加するというものです。
ここまで紹介した4つのメジャーな会社の対応を紹介しましたが、それ以外でも動きがあります。
TikTok
TikTokのポリシーでは、早まって発信している勝利宣言の投稿については、目に付かないようにする対策を取るようです。
また、投票日前後に事実確認をするパートナーと一緒に前倒しのスケジュールでこの対策に取り組む計画となっています。
まとめ
このように、大統領選挙中は、SNSやインターネット上で広がる根拠の無いウソやデマは、会社側が倫理感を持って公表しない、ラベルを付けて注意喚起するという行動が取られます。
今後は、アフィリエイターにとっても、「ウソやデマ」は書き込んではいけない、ということに発展していくでしょうね。
ますます、記事の質が重要になってきました。
追加
11月5日が過ぎて、大統領選挙の投票が終わりました。
今のところ、SNSによるデマ情報でアメリカが混乱しているというニュースはありません。
SNS各社の倫理的行動が混乱を防いだとも言えるのではないでしょうか?
自由な国アメリカは、正確な情報発信を本気になればできるだぞ!ということを見せつけたのではないでしょうか!
更に追加!
11月6日には、アメリカのABCニューステレビがトランプ大統領の演説をカットしていました。
これは、トランプ大統領の演説には根拠の無いものが含まれているから、という理由からでした。
大統領であっても、根拠の無い話を持ち出すと、カットされる時代がやってきました!
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